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SORより怖いダークプール
この記事で伝えたいこと
個人投資家を騒がせたSOR問題。しかし、もっと注意すべき『ダークプール』を知っていますか?高速取引業者(HFT)との関係や、個人投資家が知るべきデメリットと回避策を解説します。
こんにちは、金育SEのまさ(@kinikuse)です。
先日、日経新聞のとある記事が炎上しました。
株の売買注文を出したら、何者かに瞬時に先回りされている――。個人投資家からこんな声が上がるようになったのは、つい最近のこと... 覗かれる株注文データ 高速取引、個人に先回り
その日のうちに、SBI証券も設定変更をしたので、この問題は発生しなくなりました。
でも、、実はもっとやばい問題が残っているのはご存知ですか?
2018/3に開始した「SBBO-X(エスビービーオークロス)」というサービスです。正直、SORはただの設定ミスですが、このダークプールはプロ向けの機能を無理やり個人開放してるので微妙ですね。。
まさ
食い物にされてほしくないのでダークプールについてご紹介します。
SORとは?
Smart Order Routingの略で、値段が安い取引所に発注するよ!という機能です。
あまり知られていませんが、日本の取引所は全部で6つあります。
- 東京・名古屋・福岡・札幌の取引所
- 私設取引所(PTS)であるジャパンネクストとChi-X
例えばトヨタ(7203)は東証の他に、名証・ジャパンネクスト・Chi-Xの合計4箇所で取引されています。ただし、それぞれの取引所で買える値段は微妙に異なります。
その中で最も安い取引所で買えると嬉しいですよね?
当初の目的は「人間が目で比べるのは大変なので、自動的に安い取引所で購入する便利な機能を作る」でした。
SORで超重要な仕様
少し、システム屋的な話をします。笑
SORには超重要な仕様があります。
1,000株の注文を発注するときに、2つの取引所に同時に注文してしまうと、2,000株買えちゃうかもしれません。
なので、PTSと東証へ順番に発注します。
そのため、はじめに発注するときは、ダメならすぐ引っ込める条件(IOC注文)で発注が原則となります。
今回はここの仕様を変更したのでバッシングを受けました。
日経の記事を解説
今回の問題を振り返るとこうなります。
- 2019/10からSOR取引の設定が変わった
- PTSからすぐ引っ込めるのではなく、150ミリ秒待ってから引っ込める挙動になった。
- プロの高速取引業者(HFT)が、PTSの個人投資家の注文をチラ見できるので、ボロ儲け
- 個人投資家は東証で常に1円高く買わされるので損しまくる
SORの重要な仕様である、「すぐ引っ込める条件(IOC)」を緩和して、「150ミリ秒残してから東証に発注する条件」に変更しました。
その結果、マイクロ秒(ミリ秒の1/100)の世界で戦っている高速取引業者に悪用されてしまいました。
SBIの設定は既に戻されたため安全
今回の記事を受けて、SBI証券はすぐに設定をもとに戻しました。
いくつかの火種は残りましたが、現在は解消されています。
どんな問題が残ってるの??
設定をもとに戻したのでひとまず落ち着きました。
が、個人的にはサービスインしたときから「ダメだろ〜」と思ってるサービスが残っています。
それはダークプールという仕組みです。
プロの機関投資家のための市場だったのですが、2018年からネット証券が個人にも門戸を開いてしまいました。。
ダークプールは第7の取引所
ダークプールとは、取引所を通さずに証券会社内のシステムで投資家の売買注文をマッチングさせるシステムです。
東証などに注文を発注すると、必ずその気配(いくら発注したか?)が周りの参加者も見ることができます。
ダークプールの場合は、その数量も値段も自分しか把握できません。
これは大口注文を出したい機関投資家には大きなメリットになります。
例えば、1日で1億円以上の株を売却したいときに、東証だと他の参加者にバレてしまい不利な値段になってしまいます。ダークプールなら数量が見られないので、隠れながら取引ができるのです。
ダークプールが個人へ与えるデメリットは?
ダークプールは各証券会社に来た注文しか発注されないため、何もしないとほとんど注文がありません。
そこで高速取引業者へ注文を投げることを依頼しています。
そう、ダークプールには今回問題となった高速取引業者がたくさんいるんです。
ダークプールを利用すれば、今回の設定がなくても同じ事ができちゃいます。
ダークプールに100株だけ注文を出しておくだけです。約定がついたら誰かが注文を投げたってことなので、東証に先回りして注文を投げればよいだけです。
どうすれば避けられるの?
SBIのダークプールは、申請制なので普通の人は利用できません。
サービスに申し込まなければ良いので、この仕組みを十分理解してから登録するようにしましょう。
もっと詳しく知りたい方は...
今回のSORやダークプールの話は、『フラッシュ・ボーイズ』というノンフィクション小説でもわかりやすく解説されています。興味がある人は読んでみてください!
今回は時事ネタを扱ってみました。
知っててほしいこと
- SBIのSOR機能は改修されたので問題なし
- 第7の取引所であるダークプール機能はまだ残ってる(2019/11現在)
- 大口取引には効果ありなので、理解してから利用するべし
- 長期投資家はどちらも気にしなくて良い
SORやダークプールは正しく利用すればメリットがある制度です。
基本的には大口のデイトレードをする人のための機能です。短期のデイトレーダーは利用しないほうが良いでしょう。
ただし、長期投資を前提としている人はあまり気にしなくて良いです。
配当金や優待目当てで個別株を保有する人もいると思いますが、そういう人は購入時に1円高いかどうかは長期的なリターンに与える影響が少ないです。
まさ
投資信託を買うだけなら全く関係ないです。 「投資怖い…やめよ…」と思わないでください!
最後までお読みいただきありがとうございます。
良い機会なので、私と一緒にお金の勉強を始めませんか。
まったり更新していくので、X(@kinikuse)もフォローいただけると幸いです。
投資に関するご注意
当サイトの情報は、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
投資の最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。




